エルブリ・ホテルのレストラン
『La
Alquer』
El Bulli
Hotel Hacienda BENAZUZA
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C/VIRGEN DE LAS NIEVES S/N, Sanlucar la
Mayor, Seville, SPAIN
レストラン入口
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Tel: (95) 5703344
チョコレートとタイ・カレーのデザート
朝食の一皿
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世界中の美食家の憧れである『エルブリ』がセビーリャ郊外にオープンしたホテル Hacienda
Benazuzaのメイン・ダイニング。
ホテルはセビーリャ市内より車で20〜30分の郊外にあり、10世紀にムーア人によって建てられた歴史ある建物。 19世紀からは闘牛家で名高いPablo
Romero一家が持っていたものだそうだ。
ホテルにはレストランが2つとバールが一つあるが、エルブリのシェフFerran
Adriaの厳選メニューが味わえるのは、La Alqueriaの方。
私が泊まったのは2002年の12月24日のクリスマス・イブだったが、ゲストは皆食事の前にホテルのチャペルで行われた弦楽四重奏のコンサートに招待され、食事の前からすでに大きな期待感が湧き上がっていた。 約1時間のコンサート終了後、レストランにて食事を始めたが、次から次に西洋料理の常識を超えた料理が展開された。
普通西洋料理では使わない食材や調味料が多用されており、また、一皿にいくつもの小さな料理が載せられて次々に出てくるところなど、欧州の人には未体験の世界であろう。 食材や調味料に比較的日本人には馴染みのあるものが多く、日本には懐石料理の文化もあるので、それほど驚きを感じないかもしれないが、それでも不思議な感覚に陥ることは間違いない。 海苔を飴で固めた板状のものや「雷おこし」としか思えないものには日本人の私も驚かされた。(日本の料亭やレストランで出てきたら『?』だろう。)
また温度差を味わう料理(最近Smapのキムタクが盛んにやっているが)、エスプーマ(Ferran
Adriaが開発したガスを使って液体素材をフォーム状にする調理器具)を使った淡雪のような食感を味わう料理、スポイトで料理と共に飲むソース、といった変わりダネ料理は、知識として知ってはいたが、実際に味わってみると、やはりエルブリが新しい料理を開拓し続けてきたということを改めて認識させられる。
前菜(というかスナック)が終わってDinnerの途中で初めて気付いたが、それまではすべてカラトリーを使う必要の無い料理だった。(スナックだから当然なのだろうか?もっともどこまでが前菜なのか、メニューを見ないと判断がつかなかったのも事実だが。)
最後のタイ・カレーをチョコレートで筒状に包んだデザート(チョコレートを破るとカレーが流れ出す)に至るまで、驚きの連続といった夕食であった。
翌朝の朝食もレストランでいただいた(ルームサービスも可)が、やはり皿の上にいくつもの小さな料理がそれぞれの器に盛られ、『視・聴・嗅・味・触』の人間の五感(温度感覚もあるので六感?)で楽しむ料理であった。
料理をする人には非常に興味深く、新鮮な驚きを感じる料理ではあるが、保守的な一般の人には『?』がつくのかもしれない。 事実、隣のテーブルにいたスペイン人の夫婦連れは、奥方の許容範囲を超えた料理に険悪な雰囲気であったことを付け加えておきたい。 (いかにもそれとわかる鶏の足の煎餅には、我が妻も降参。中華料理にも似たものがあるのだが・・・。) |